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日本はもう「賃上げだけ」で豊かになれない
― 経営者が次に考えるべき“本当の待遇改善” ―

2026年1月28日

「とにかく賃金を上げないと人が採れない」
ここ数年、多くの経営者の方がそう感じていると思います。
確かに賃上げは重要です。
しかし、今日は少し視点を変えた話をしたいと思います。
結論から言うと、日本はすでに
「成長で豊かになる国」から
「分配と運用で豊かさを維持する国」へ

静かに移行しています。

日本はすでに“十分に豊か”な国

高度成長期の日本は、
・家電が普及していない
・道路も整っていない
・住宅も不足している
「作れば売れる」時代でした。
だから
企業が成長 → 売上増加 → 賃上げ → 生活向上
という分かりやすい好循環が成立していました。
しかし現在はどうでしょうか。
・生活インフラは完備
・物は溢れている
・人口は減少
・市場は成熟
正直なところ、
「国全体が毎年大きく成長する余地」は
それほど残っていません。

なぜ賃金は構造的に上がりにくいのか

理由はシンプルです。
①市場が成熟している
売上が急増しにくい。
②人口が減っている
消費も労働力も縮小。
③AI・自動化が進む
同じ売上を少人数で達成できる。
結果として、
企業が賃上げに回せる原資は限定的
になります。
もちろん、一部の成長企業や業界では賃上げは続きます。
しかし「日本全体で賃金が右肩上がり」という時代には、もう戻りません。

それでも社員は将来に不安を感じている

一方で、社員側はこう感じています。
・年金は大丈夫だろうか
・老後資金は足りるのか
・物価は上がるのに給料は増えない
・ずっと働き続けられるのか
つまり、
問題は「今の給料」より
「将来の生活の見通し」
なのです。

次の時代の待遇改善とは?

ここで重要な視点があります。
これからの日本は
「給料を増やす国」ではなく
「資産を持つ人を増やす国」
になっていく、ということです。
言い換えると、
労働所得だけに頼る
会社の給料だけに頼る
モデルから、
社員自身が“資本側”にも回る
モデルへの転換です。

「分配」と「運用」という考え方

企業ができることは2つあります。
①分配
利益の一部を
・賃金
・賞与
・福利厚生
として社員に還元する。
②運用
その分配されたお金が
・貯蓄だけで終わるのか
・資産として育つのか
この差は、10年後・20年後に極めて大きな違いになります。

賃上げだけでは限界がある理由

例えば月1万円の賃上げ。
会社負担:社会保険料含め 約1.3~1.4万円
社員手取り:約7,000円前後
一方で、同じ原資を
・税制優遇のある制度
・長期運用に回した場合
社員の将来資産はまったく違う形になります。
これは「節税」や「制度の話」以前に、
社会構造の変化への適応
です。

経営者に求められる役割も変わった

これからの経営者は、
「給料を払う人」
だけでなく、
「社員が将来も安心して生きられる仕組みを用意する人」
でもあります。
採用競争のためだけではありません。
・定着率
・モチベーション
・会社への信頼
・長期的な生産性
すべてに影響します。

まとめ

日本はすでに
「成長で豊かになる国」ではなく
「分配と運用で豊かさを守る国」
に入っています。
賃上げは大切。
しかし、それだけでは足りない時代です。
これからの待遇改善とは、
給料を少しずつ上げることではなく
「社員の人生の安定性を上げること」
なのかもしれません。