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介護法人の人件費率はなぜ上がり続けるのか
数字で見る「設計している法人」と「していない法人」の差

2026年2月25日

介護法人の経営で、
最も重いテーマは何か。
間違いなく人件費率です。

■介護法人の人件費率の現実

一般的に、
・介護事業の人件費率は 60〜75%
・訪問系は70%超も珍しくない
・加算依存度が高い法人ほど変動が大きい
売上1億円の法人であれば、
人件費が70%なら 7,000万円
ここが1%上がるだけで、
年間100万円の差
になります。
3%上がれば300万円。
これは利益を一気に圧迫します。

■賃上げだけで解決しようとするとどうなるか

例えば、
職員20名
月1万円ベースアップした場合
1万円 × 20名 × 12ヶ月
年間240万円
さらに社会保険料会社負担分を含めると、
およそ300万円規模
になります。
これが固定化します。

■では、職員の将来不安は消えるのか?

ここがポイントです。
月1万円上げても、
手取り増は7,000〜8,000円程度。
多くは生活費に消えます。
将来の安心には直結しにくい。

■設計している法人の考え方

強い法人は、
人件費をこう分解しています。
① 今の生活を守る部分
② 将来の安心を作る部分
この“時間軸”で整理しています。
例えば、
・月給のベースアップは抑制的
・将来資産形成制度を併用
という設計。

■数字で見る違い

仮に同じ年間300万円を使う場合。
A法人(賃上げのみ)
・全額月給上乗せ
・人件費率固定上昇
・将来負担も増加
B法人(設計型)
・一部は将来資産形成へ
・社会保険料負担抑制
・退職金見える化
・面接で差別化可能
同じ300万円でも、
“使い方”で意味が変わります。

■採用コストと比較すると?

介護職1名の採用コストは、
・紹介会社利用:年収の20〜30%
・300万円年収なら60〜90万円
仮に離職率が1名改善すれば、
年間60〜90万円の効果
になります。
将来設計がある法人は、
定着率が改善しやすい。
これは数字で見ても合理的です。

■退職金未設計のリスク

退職金を後回しにしている法人では、
・退職集中時にキャッシュ流出
・将来負担が読めない
・財務が不安定
という問題が起きます。
設計している法人は、
将来コストを“平準化”しています。
ここが経営の安定につながります。

■結論

介護法人の経営は、
・加算を取るかどうか
・制度を入れるかどうか
ではなく、
人件費をどう“設計”しているか
で差がつきます。
数字で見ると明確です。
・1%の人件費率=100万円
・採用1名=60万円以上
・月1万円賃上げ=年間300万円規模
これを“点”で考えるか、
“構造”で考えるか。
ここが分岐点です。

制度の話ではなく、
人件費全体の設計としてどう整理するか。
その視点から考える法人が増えています。