老後の生活を支えるための重要な柱である年金制度。 しかし、現状の日本では「公的年金は賦課方式」という仕組みが、少子高齢化という構造変化に適応しきれていません。今回は公的年金が検討する課題と、確定拠出年金(DC)の可能性について考えてみます。
公的年金の仕組み:賦課方式とは?
日本の公的年金は、「賦課方式」を採用しています。これは、現役世代が保険料を負担し、その時点での高齢者年金給付に充てる仕組みです。制度設立当初は人口増加期にあり、多くの現役世代が少数の高齢者を支える構造でした。このため、制度は安定的に機能していました。
しかし現在、少子高齢化の影響で現役世代は減少し、高齢者が増加しています。この「逆ピラミッド型」の人口構造により、以下の課題が生じています:
• 現役世代の負担増加:保険料率が上昇し続け、若い世代の経済的負担が増加する。
• 年金受給額の低下:支え手の減少で年額が減り、老後生活の不安が増大する。
• 負担の拡大:政府が年金を補助するための負担が増加し、当面の持続性が危険視されている。
このように、賦課方式は少子高齢化が進む現代の社会には適応しにくいと言えます。
確定拠出年金(DC)の可能性
いわゆる公的年金の限界を補う仕組みとして注目されているのが、確定拠出年金(DC)です。 DCは、個人が自分の老後資産を形成するために積み立てを行い、その運用結果が直接受け取れる年金額に反映される仕組みです。少子高齢化の影響を受けにくい点が大きな特徴で、以下のようなメリットがあります。
1. 柔軟な資産形成
DCは、加入者自身が運用商品を選び、資産を管理します。投資信託や定期預金など、リスク許容度やライフプランに合わせた選択が可能であり、フリーランスや非正規雇用の人でも活用できる「個人型DC(iDeCo)」も普及しています。
2. 税制優遇の効果
DCには税制優遇が設けられており、掛金は課税対象外、運用益は非課税、受け取り時には退職所得控除や公的年金控除が適用されます。これにより、効率的な資産形成が期待できます。
3. 少子高齢化の影響を受けにくい
DCは自分で積み立てた資産を運用する仕組みのため、人口動態に左右されず、持続可能性が高いのが特徴です。
問題と改善の必要性
決断、DCの運用は個人の判断に解決されるため、金融知識の不足や運用リスクへの対応力が課題となります。これを解決するためには以下が求められます:
• 金融教育の充実:学校や職場での金融リテラシー向上。
• 運用サポートの選択肢:専門家のアドバイスや情報提供の強化。
• 柔軟な設計制度:ライフステージに応じた掛金変更の仕組み。
公的年金とDCの併設が鍵
公的年金とDCを補完的に活用することが重要です。公的年金は最低限の生活保障を担い、DCは個人のライフプランに応じた資産形成を支援する役割を担います。 「公助」と「自助」のバランスが、持続可能な老後資産形成の鍵となります。
自らの老後に向けた資産形成を意識し、行動を起こすことが求められる時代です。将来の安心を実現するために、今からできることを考えてみてはどうでしょうか?