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見るべきものなど何もない時代に──401Kという「現実への投資」
2025年5月27日
私たちはいま、「見るべきものなど何もない場所に、過剰なイメージをつくり出す」時代に生きています。
SNSで映える人生、派手な副業、AIや仮想通貨に未来を託す投資──それらの多くは本物のように見える“だけ”の現実、いわば「虚構のリアリティ」です。
哲学者ジャン・ボードリヤールは、これを「ハイパーリアリティ」と呼びました。
つまり「現実よりもリアルに感じられる偽物」が、私たちの生活を支配してしまう状態。
その文脈で見ると、老後資金も同じです。
「老後はなんとかなる」という幻想
「年金があるから大丈夫」
「会社が面倒を見てくれるだろう」
「自分にはまだ関係ない」
こうした考えは、しばしば**“安心”という名の幻想**にすぎません。
実際には、年金の支給水準も不透明で、会社に依存できる時代でもない。
でも、私たちはその「よくわからない現実」に直面するのが怖くて、目をそらしてしまうのです。
それがまさに、「見るべきもののない場所(老後の不安)」に、**過剰なイメージ(なんとかなる)**を作り出す典型例です。
401Kとは、虚像を引きはがす制度である
では、どうすればその幻想から抜け出せるのか?
その一つの答えが、**企業型確定拠出年金(401K)**です。
401Kは、目をそらしたくなる将来に「現実的な手段」で向き合う仕組み。
積立・分散・長期という、地味で堅実な投資によって、“いま”と“未来”をつなげていく制度です。
派手なリターンを約束するわけでもなければ、インフルエンサーがPRしてくれるわけでもない。
でも、それこそが真実の証。
401Kは、「映えないけど、本物」であることに価値があるのです。
投資を教えるということは、現実を生きる力を渡すこと
多くの人が投資を「怖い」と言います。
でもその怖さの正体は、「知らない」から生まれたもの。
つまり、イメージが独り歩きしている状態です。
だからこそ、企業として401Kを導入し、社員に投資教育を届けることは、単なる福利厚生ではありません。
それは、虚像に飲み込まれないための「生きる力」を提供することなのです。
地味でも、確かな未来を
イメージの暴走が支配する時代において、401Kという制度は、あえて逆を行きます。
派手さはなくても、実体がある。
煽り文句はなくても、意味がある。
だからこそ、401Kは今、もっとも価値ある選択の一つなのかもしれません。
現実を直視するということ。
未来を自分の手でつくるということ。
それは、401Kという“見えない資産”への投資から始まります。